仕事柄、大学生の就職というものに触れる機会が多い。
昨日もその仕事の関係で、関わっている学生が数人内定をもらったんて一息だったんだけども、感慨深い一方で悩ましい部分も多い。
つい先月も、今年の3月卒業の学生で、どうしても内定がとれない、という学生と会った。
「で、どんな仕事がしたいの?」というと、「うーん・・・」と答えがない。
質問を変えて「どんな所を受けてきたの?」と聞くと、「マスコミと広告代理店」だそうだ。
あぁ、またか、と頭をよぎる。
そこから先は聞かなくてもだいたいみな同じで、「クリエイティブな仕事がしたい」か「世の中に何かを発信したい」という気持ちで、大手から中堅までのマスコミ・代理店を受けて軒並み落ちているパターン。
イメージ就職、と言ってしまえば単純なんだけど、この例に限らず、思っているよりも、「大手がいい」とか「マスコミがいい」「企画がやりたい」とか「営業はいやだ」とか、いろんな形でイメージ就職という罠にハマっている学生は多い。
それもやむをえないことで、社会との接点が極めて少ない学生時代に、世の中の会社の仕組みや仕事の内容なんてわかれ、なんていう方が難しい。学生の時、どれだけの仕事を知っていたか、と思い返すとほとんど何も知らなかったに近いな、と自分も思う。
だから「モノづくり」とか「クリエイティブ」とか「趣味に近い領域で」とか考える。
実際問題、どこまで行っても会社というのは入ってみなければわからず、仕事というのはやってみなければわからず、それは学生・社会人関係なく同じなのだ。
もちろん社会人のほうが、より社会接点を多く持っているため、情報量の問題としては当然社会人のほうが多いけど、実はそれだって五十歩百歩だったりする。「MR」なんて仕事、知らなかったもん。
多くの人が「自分に合う仕事をさがそう」という。でも、それってものすごい矛盾したことを言っていて。
仕事をしたことがないのに、どうして自分と合うかどうかがわかるのか?
そういうことを言われた学生も真剣に考え出すので、より「これが自分にぴったりに違いない」と考える罠にはまり、抜け出せなくなるのだ。
世の中では3割の学生が、入社3年目以内にやめると言う。3年以内にやめるのだから、きっと何かが合わなかったのだろう。
でも、逆に7割の人が「これが天職!」と思って仕事をしているかというと、絶対にそんなことはない。
それでも、みんな楽しい仕事、詰まんない仕事のバランスを取りながら、割と楽しく働いてたりするのが現実だ。
でも、それはなかなか学生に伝わらない。
香山リカが「就職がこわい」という本の中で「まずは働いてみる」という大切さを訴えてたりするけれど、一見乱暴なようで実はそれが一番近道だと最近思う。
働く前でも同様。興味ないと思った仕事や、会社でもまずは覗いてみる。
それ以外、自分で狭めた「選択肢」を広げる術ってなかなか無い。
昨日内定がとれた学生も、ドンピシャ希望通りの企業だったかどうかはわからないけど、あんまり関係ないと思う。
まずは働いてみて、自分のできること、やりたいことをきちんと認識する。それからでも何も遅くは無い。
そこを少しでもわかってくれたんだったら、いいなぁと思う。
「自分にぴったりな企業を探す」ということを捨てる、最近学生と話すと一番先に話す内容です。
(みんな「はぁ?」って顔を最初するけど、話してくと意外に、安心した顔するんですよ。みんなやっぱプレッシャーなのね)
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