ライブドアvsフジテレビについて、ちょっとカチンと来たニュースが目に留まったので、ちょっと真剣に。
今日のasahi.comより
■フジ系列27局が声明文 ニッポン放送支持
FNS(フジ・ネットワーク・システム)系列27社は18日、フジテレビとニッポン放送を支持する声明文を発表した。
声明では、ライブドアが目的としている「放送と通信の融合」について、「既に全国の放送事業者によって行われているデジタル時代に向けた具体的な取り組みを超えるものではない」とし、「ライブドアの支配によってニッポン放送の企業価値は著しく低下し、ニッポン放送を支持してきた聴取者は大きな損害を受けることになる」などとしている。
意図はわかる。社員からアンケートを取っちゃうくらいなんだから、系列局にこういう事をやらせたところで何の不思議もない。
が、言うに事欠いて「取り組みを越えるものではない」とは。
サーバーPほか、諸々の協議会の話を漏れ伝え聴いている限り、その「取り組み」とやらが放送と通信の融合をなしえるとは到底思えない。むしろ、暗礁に乗り上げつつあるという認識さえある。
是非彼らが思うところの「放送と通信の融合」とやらを具体的に教えて欲しい、と思ったものだが、仮にフジが思う融合した姿があったとしても実現できるかどうかは全く別の問題だ。
様々なステークホルダーを含む、放送・広告代理店・メーカー・コンテンツ制作者間だけでも調整が取れていないのに「既に全国の放送事業者によって行われているデジタル時代に向けた具体的な取り組みを超えるものではない」とは片腹痛い。
放送事業者としてのフジが「放送と通信の融合」をどう取り組んでどう考えているかというのは問題の表面的な部分にすぎず、利害関係者オールを含んだ「どういうプレイヤーの関係性で、どこに各事業の線引きを行うか」ということが一番悩ましい部分のはずである。
そういう意味で本当に肝心なのは、他メディアふくめた広義の利害関係者間の合意形成なのであり、総務省にしてもその他の外郭団体にしても、国ないしは官主導でその線引きが出来ていない(またはしていない)以上、その議論は慎重に行わなければならないし、ましてこんな場で軽はずみに口にするべき話題ではない。
少し話はずれるが、この辺りは国主体で規制すれば規制したで極めて閉鎖的な市場を形成するし、逆に民間主導で行えば放送・広告代理店・メーカー他、様々な思惑が絡んで身動きが取れない、という現状をきちんと認識する必要がある。
結局、各プレイヤーの自由度の高い中でレベルの高い合意形成を行うためには、みんながオトナでなくてはならず、ことにこの分野においては広告売り上げという絶対神が君臨している以上、その手のひらの上からみんなが落っこちないようにバランスをとりながら綱引きをするしかない。
しかも、視聴率神話の崩壊など、序所にその手のひらは小さくなって来ている。
決してホリエモンが正解だとは思わない。しかし、彼のようにダブル、トリプルをプレイするプレイヤーが現れることは、ともすれば閉鎖的な放送メディアに対する風穴になるのかもしれない、と一抹の期待も抱いてしまう。
「皆ががんじ絡めになって動けないなら、複数の役割を一人で担うよ」って。
「中立性、公共性を担う「メディア」と儲けを追う「事業」を一緒にするな!」と言う人もいるだろう。
けど、今の民放メディアがそんなに立派なものですか?
どのチャンネルを回しても、同じ時間に同じニュースをやっていて、あとはバラエティを量産する、そんな状態なのに「メディア」と連呼するのは如何にも空虚な感じがしないか。
それに、株式会社としての使命は、どこまでもステイクホルダーに対する利益の創出、とくに株主に対する利益を追求しなければならんはずなのだ。
百歩譲って彼らの言う「メディア価値」があったとしても、それを作り出す仕組みは、事業を成長させ、売り上げを伸ばしていく仕組みとは既に乖離しつつあるのが現状だ。「放送と通信の融合」にはそこまで含まれて然るべきだ。
今回の一連の騒動において、メディアの名の下に公共性を謳う「社会的なスタンス」と、一事業主として事業の成長を主とした「経営的なスタンス」がゴチャ混ぜになっているのが問題を分かりづらくしているのは、様々なところで指摘されている通りである。
もちろん、両者が完全に分離することができないのは承知の上で、経営・経済面でもメディア面どちらでもいい、せめて「貴方達なりの正論を言ってみろ」、と言うのがフジに強く感じるところである。
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